理事長からの挨拶
レクスタの拓く道

地元にあるエネルギー源を
自分たちの手に取り戻し
自然エネルギーの畑を耕そう!
(代表理事 桜井薫 / レクスタ通信より)
2007年7月の中越沖地震で、柏崎の原発は止まっています。石油の権利を確保するためにイラクに自衛隊を派遣しています。原発と石油の上に成り立つ今の私達の生活は、薄氷の上で火を焚いて宴会をしているようなものです。
石油とか原発とかは、大量生産・大量消費を支えて来ました。それは飢えや寒さからの脱出を可能としてくれました。24時間眠らない都市を作り上げました。暑さ寒さも、スイッチ一つです。何でも手に入ります。お金と権力さえ持てば。
都市があれば、片方に田舎があります。少数の持てるものがいれば、大多数の持てないものがいます。私達の生活は、弱い所にしわを寄せて、成り立っているのです。お金と技術は、いつもひとにぎり者たちに握られて、われわれは、かやの外です。私達の現在を可能にしているのは、この構造です。だから、危うく、危ないのです。原発と石油を基礎にした生活のしかた、社会・経済の有り様に、そろそろ歴史の役割を終えてもらう必要があるのです。
次に来る社会 は、適正な規模の地方が中心となって、それらがネットワークされている「分散型社会」です。この社会のエネルギーを担うものが、自然エネルギーであり、省エネルギーです。私たちレクスタの存在意義は、これらを実際に担う事だと考えます。自然エネルギーが人々の生活に根を下ろす光景として、私は時々こんな夢を見ます 村のお爺さんが山に柴を刈りに行き、夕方には、その柴で公民館のお風呂を沸かして、汗を流します。湯沸かしは、村の所有のコージェネレーション (注)なので、近在の電力源にもなり、売電します。お婆さんが洗濯していた川には、水力発電があります。機械を動かしているのは、村の若いエネルギーやさんです。この夢には、ポイントが幾つかあります。発電機が村の所有になっていること、その管理とそれにかかる労力を地元の人が担っていること。ノウハウ は、ブラックボックスになっていず、誰でも使いこなせるものとして公になっていること。電線は、全国と繋がっていて、融通しあってること。利益はコミュニ ティのルールで配分されること。これに、必要な資機材が、共同出資の組合等を通して、適正な価格で流通すること、が加わっていると良いですね。
こうした姿を、私は地産地消に基づいた、循環型の社会のベースだと考えています。大手企業に握られている生産手段を、地域の人々が取り戻して行くことで す。この過程を通して、都市は適正規模のコミュニティに再編されて行きます。コミュニティが再編されるに連れて、自然エネルギーが、練れた技術として、生活に根を下ろして行きます。原発を止める一つの方法は、自分達の必要とするエネルギーを自分達で作り、管理して行く仕組みを作って行く事だと考えています。戦争をしなくて済む一つの方法は、自分たちの使うエネルギーは、自分たちのまわりで作り出すことです。環境問題を解決する基本は、自分の生活を手の届 かない誰かに預けないと言う事です。人任せにしなければ、子供たちや孫たちが持続して暮らしていける仕組みが生まれて来ます。この動きの核になるものと して、「エネルギー工房」を考えています。地域住民などによって支えられた、エネルギーの手作り工房です。これを各地に作りながら、やがて地元の様々なエネルギー源を利用する「組合」などに成長して行く事を、頭に描いています。エネルギー工房が目指すのは、以下のような事です。
生産手段の所有
水力発電やチップボイラー、風車などを使う人達がお金を出し合って、手に入れて行きましょう。嬉しいことに、市民出資の風車があちこちで立ちはじめていますね。レクスタはソーラーネットというNGOのはじめた「手作り太陽電池」のキャラバンを応援しています。太陽電池を手づくりするにはラミネーターと言う小さな機械が必要です。このラミネーターが各地にあれば、手のあいた時に、自分の太陽電池を簡単に作ることができるようになります。昔、村には水車小屋があり、時間のあるときに、自分の粉を引いたようにです。
自然エネルギーを根づかせるための仕組みづくり
自分たちがエネルギー生産手段を所有しても、それを自由に扱えないのであれば、どうしようもありません。
電気事業法と言う法律があり、敷地をまたいでの電気の売り買いは、基本的にダメです。送電線も利用するためには、高い使用料を払わねばなりません。少なくとも自分たちの作り出したエネル ギーを自分たちで自由に使うための仕組みを作らねばなりません。それをさまたげている法律の壁を崩す必要があります。
各地のエネルギー工房を担っていける人材の育成
周囲の様々なエネルギー源を使いこなす技術屋さんのための講習会や学校を開催し、人的なつながりをベースにした、各地のネットワークを形成していきたいものです。
さらに、エネルギー源だけを持っていってもだめです。それを生活に利用するための商品群と技術の提供が必要になります。
幸いなことに私たちレクスタは、太陽電池や風車・太陽熱温水器を中心に、独立系のラインナップをそろえてきました。これらは、今までメンバーが培って来た ものですから、整理すればかなりの品揃えができると思います。さらに森、水の利用・省エネへと進化させて、生活の自立を支えるより良い技術を、各地のエネ ルギー屋さんに届ける役割を、レクスタはもっていると思います。
これまでは、大きな資本がなければ、まとまった事業を起こすことはむずかしいことでした。銀行家や資本家に頼るしかありませんでした。しかし、市 民出資、市民の銀行などが、各地で旗揚げしています。この動きは私たちの考えている「エネルギーの地産地消」の動きと重なります。
食料と、エネルギーとお金が、自分たちの手に戻って来る時、政治の決定構造も市民主導に変わっていきます。適正な規模のコミュニティを核とした分散型の社会が出て来ます。二酸化炭素の過剰な排出や、放射性廃棄物をともなう再生不可能なエネルギーは、選択肢から消えて行きます。エネルギーのある所に、それに見合った産業 が生まれ、生活が営まれています。イラクに石油を取りに行くために努力するのか、荒れ果てているわが国の山からエネルギーをお借りするために汗水を流すの か、そろそろハッキリとこの国の方針を決める時です。私たちレクスタは、後者が実現するために、進んで行きます。
(注)コージェネレーションとは この例の場合は、柴を燃やした熱を暖房・給湯に利用し、燃やした時に生じる蒸気や可燃性ガスを発電利用する。コージェネレーションとは、熱と電力の総合利用率を高める技術の総称。

イラスト : 石岡真由海さん。REXTAパンフレット「自然に学び 自然と生きる 身近なエネルギーを暮らしの中に・・・」より
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